「化粧品には効果があってはいけない」という噂を聞いたことはありませんか?
ニキビができたときや日焼けしたときなどに、スキンケアを見直そうとする人が多いはず。
しかし、化粧品にはニキビ治療や日焼けした肌を白くする効果はないのです!
「効果があってはいけない」と言われる理由は、日本の薬機法によって化粧品は「人体を美しく保つもの」と決められているから。
今回は、「化粧品に効果があってはいけない」という噂について解説します。
薬機法管理者&コスメコンシェルジュの私が徹底解説!
化粧品には効果があってはいけない?
「化粧品には効果があってはいけない」
「化粧水は99%が水」
なんて噂を聞いたことはありませんか?
実は、日本の薬機法によって化粧品で言える効果は56項目に定められています。56項目の中には、肌を白くしたり、ニキビを治したりする効果が含まれていないのです。
薬機法で化粧品は「人体への効果が緩やかなもの」と決められているため、56項目に含まれない表現を使うと法律違反になってしまいます。
薬機法違反をすると課徴金(罰金)が課せられたり、逮捕されたりすることも。
そういった背景から、美容業界や広告業界で働く人の中で、「化粧品には効果があってはいけない」という認識が広まっていきました。
認められていない効果があるように見せると法律違反になるから、「効果があってはいけない」と表現したんですね。
薬機法とは?何を決める法律なの?
薬機法によって、「化粧品」「医薬部外品(=薬用化粧品)」「医薬品」「医療機器」の4つが定義されています。
スキンケアやヘアケアなどに深く関わってくるのは、化粧品と医薬部外品です。
化粧品は人体への作用が緩和で、肌や髪を美しくたもつためのものと定義されています。
医薬部外品は、化粧品の効果に加えてニキビやあせもなどを予防する効果があるもの。
医薬部外品には、国が効果を認めた”有効成分”が一定量含まれています。
化粧品と医薬部外品の違いを覚えておくだけで、スキンケアアイテムを選ぶのが楽になりますよ!
化粧品に認められている効果一覧
化粧品でいえる効果は56項目に定められています。
56項目を参考にすると、化粧品に分類されるスキンケアアイテムでは、
- 肌の保湿
- 肌の洗浄
- 肌のキメを整える
などの効果しかいえません。
つまり、化粧品は「ニキビの予防・改善」「シミ・シワ改善」「美白(メラニンの生成を抑える)」「毛穴の引き締め」などの効果を持っていないのです。
洗顔料やボディソープは例外で、“洗浄による”ニキビ予防効果が期待できます。
化粧品に分類されるヘアケアで髪のうねりを改善することはできないし、ボディケア商品で体臭を防ぐこともできません。
化粧品は人体への効果が緩やかなので、保湿や洗浄・保護などのベーシックな”守りのケア”しかできないと覚えておきましょう。
56項目全てを知りたい人は、以下のボックスをクリックしてください。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
※厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」参照
医薬部外品に認められている効果一覧
では、医薬部外品だとどんな効果が認められているのでしょうか?
化粧品と異なる主な効果は、以下の3つです。
- メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ(美白)
- ニキビや肌荒れを予防する
- 皮膚の殺菌・消毒
化粧品よりも少し医薬品に近い効果があるとわかりますね。
医薬部外品にも、もちろん肌の保湿や洗浄などの効果はあります。簡単に言うと、化粧品よりも一歩踏み込んで、シミ・そばかす・ニキビなどの肌悩みを予防するのが医薬部外品です。
スキンケアやヘアケア・オーラルケアにおいて認められている医薬部外品の効能を見たい人は、以下のボックスをクリックしてください。
ふけ・かゆみを防ぐ
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ
毛髪・頭皮を清浄にする
毛髪の水分・脂肪を補い保つ
裂毛・切毛・枝毛を防ぐ
毛髪・頭皮をすこやかに保つまたは毛髪をしなやかにする
<化粧水・クリーム・乳液・化粧用油・パック>
肌あれ
あれ性
あせも・しもやけ・ ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ
油性肌
カミソリまけを防ぐ
日やけによるシミ・ そばかすを防ぐ
日やけ・雪やけ後のほてり
肌をひきしめる
肌を清浄にする
肌を整える
皮膚をすこやかに保つ
皮膚にうるおいを与える
皮膚を保護する
皮膚の乾燥を防ぐ
<ひげそり用剤>
カミソリまけを防ぐ
皮膚を保護しひげを剃りやすくする
<日やけ止め剤>
日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ
日やけ・雪やけを防ぐ
日やけによるシミ・そばかすを防ぐ
皮膚を保護する
<薬用石けん(洗顔料を含む)>
・殺菌剤主剤製剤
皮膚の清浄・殺菌・消毒
体臭・汗臭及びにきびを防ぐ
・消炎剤主剤製剤
皮膚の清浄
にきび・カミソリまけ及び肌あれを防ぐ
<薬用歯みがき類>
歯を白くする
口中を浄化する
口中を爽快にする
歯周炎(歯槽膿漏)の予防
歯肉(齦)炎の予防
歯石の沈着を防ぐ
むし歯を防ぐ
むし歯の発生及び進行の予防
口臭の防止
タバコのヤニ除去
<浴用剤>
あせも、荒れ性、打ち身、肩のこり、くじき、神経痛、湿疹、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきび
<腋臭防止剤>
わきが(腋臭)
皮膚汗臭
制汗
など
※厚生労働省「効果効能の範囲」参照
化粧品と医薬部外品はどっちがいい?
化粧品と医薬部外品には効果の程度に違いがあるとわかりました。
医薬部外品の方がニキビなどの肌悩みを予防する効果があるとわかると、「なんでも医薬部外品を選べばいいの?」と思ってしまう人が多いでしょう。
しかし、もちろん化粧品にもメリットはあります。
化粧品と医薬部外品は、肌質や肌の状態・求める効果に合わせて選びましょう。
化粧品を選ぶメリット
化粧品を選ぶメリットは、効果がおだやかな分、敏感肌でも刺激を感じにくい点です。
また、医薬部外品と比べて安いものが多いのも魅力。
効果な化粧品もありますが、コストの低さを重視するのであれば、わざわざ医薬部外品を選ぶ必要はないでしょう。
私は、肌が荒れているときや、いつものスキンケアで刺激を感じたときはあえて化粧品を選ぶようにしています!
医薬部外品を選ぶメリット
医薬部外品を選ぶメリットは、美白やニキビ予防などの効果が期待できること。
ニキビや日焼けによってできるシミを防げるため、エイジングケアをしたい人におすすめです。
すでにニキビができていたり、肌荒れしたりしてるときの治療は不可能ですが、予防ケアによって肌のターンオーバーとともに肌が落ち着いてくることもあるでしょう。
薬の代わりにはなりませんが、肌荒れの悪化を防ぎたい人や、これ以上ニキビを作りたくないという人に向いています。
口コミや広告に騙されないで!化粧品で肌荒れは治せない
いかがでしたか?
今回は、「化粧品には効果があってはいけない」という噂について解説しました。
ニキビやシミ・シワなどの肌悩みが気になると、日々のスキンケアアイテムを見直したくなりますが、化粧品で治すことはできません。
医薬部外品でも治療はできず、あくまで予防のために使うものと定義されています。
本当に肌荒れが気になるときは、皮膚科で適切な治療を受けるのがベスト。
「肌質が変わった」「ニキビが1日で治った」などの口コミにまどわされないよう、注意してくださいね。